本研究の目的は、発達障害のある児童の二次障害の実態と発生機序の解明、二次障害を予防するための介入プログラムの開発および効果検討を行ことであった。特別支援学級に在籍する小学4年生から6年生の児童46名(男児33名、女児13名)を対象に調査を行い、登校日数、抑うつ、不安の平均は一般児童と違いが見られないことが明らかとなった。以上の結果から、発達障害児の二次障害の実態についてはは全体の平均として見るのではなく個別に対応を考える必要があると考えられる。また、社会的スキルと不安については自己コントロールと強迫性障害、主張性と強迫性障害およびパニック発作と広場恐怖で関連がある傾向が示唆された。 次に、発達障害が疑われる小学4年生から6年生の4名(男児3名、女児1名)を対象としてソーシャルスキル・トレーニング(SST)を実施した。SSTは5回実施され、1回目と最終回はアセスメントとガイダンス、2回目に「あたたかい言葉がけ」、3回目に「上手に話を聞こう」、4回目に「イライラオニを追い出そう」というプログラムを行った。その結果、SSTの前後で社会的スキルの得点は大きく変化が見られなかったが、不安の得点が4名中3名において大きく低下していた。また4名中2名はフォローアップ時点でのデータを取ることができ、2名とも不安得点の低下が維持されていた。社会的スキルは保護者による評定、不安は児童自身による評定であったため、結果の違いが見られたと考えられる。そのため、社会的スキルの自己評価をアセスメントとして加える必要があると考えられる。また、本研究で行ったSSTは発達障害の疑われる児童の不安の低減に効果があることが示唆された。
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