肥満予防のプログラム開発のために2004年から10年間にわたり知的障害特別支援学校の教育課程に位置付け実施してきた体育・健康に関する指導の効果を実証するために、中学部および 高等部に在籍した生徒の3年間のBMIの経年変化について分析を行った。対象となったプログラム実施校における実施期間以前(2001~2003年)の在校生と実施期間中(2012~2014年)の在校生のBMIの年次推移を比較した。また、プログラム実施校の実施期間中の在校生と、非実施校(対照群)の在校生についても同様の比較を行った。分析は2001年と2012年の調査開始時に、中学部1年生から高等部1年生であった4つの異なる学年集団に分けて行った。 2要因(プログラム×学年推移)分散分析の結果、プログラム実施期間以前とプログラム実施期間中のBMIの年次推 移の比較では、調査開始時中学部2年集団と調査委開始時中学部3年集団のデータを用いたとき交互作用が有意であった。そこで交互作用が有意であっ た2つの集団について、プログラム要因の水準ごとに学年推移の単純主効果を分析した結果、いずれの集団もプログラム実施期間以前のデータにおいて有意な主効果が確認され、学年進行とともに BMIが上昇した。一方、プログラム実施期間中のデータでは有意な主効果は認められなかった。 また、非実施校との比較では、すべての集団において交互作用が有意であったことから、次にプログラム要因の水準ごとに学年推移の単純主効果を分析した結果、いずれの集団もプログラム非実施校においてのみ有意な主効果が確認され、学年進行とともにBMIが上昇した。以上のことから、本プログラムの有効性が示唆された。
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