本年度は、集団形態による物理的環境の調整を主としたペアレント・トレーニングの、教育・福祉機関における更なる実践研究を行った。また、これまでの実践研究をふまえて、集団形態による物理的環境の調整を主としたペアレント・トレーニングの実施者と参加保護者のそれぞれを対象とした、本ペアレント・トレーニングの実施テキストを作成した。 実践研究では、昨年度とは参加保護者を変えて本ペアレント・トレーニングを実施してもらった。また、特別支援学校の実践では、1校では各参加保護者の子育ての実践を動画撮影してもらい、その動画を介してトレーニング中に保護者同士で子育てについてディスカッションすることを行い、その有効性を予備的に検証した。もう1校の特別支援学校では、インターネット電話を介して本ペアレント・トレーニングを実施して、その有効性を予備的に検証した。 実践研究の結果、参加保護者は子どもの行動変容に成功し、トレーニングを高い満足度で評価した。この結果は、昨年度の実践研究の成果を支持するものといえた。さらに、動画撮影やインターネット電話を用いた本ペアレント・トレーニングも同様に、子どもの行動変容や高い満足度を示すことができた。この結果は、動画やインターネット電話等の機器を活用することにより、本ペアレント・トレーニングの効果や対象者を拡大できる可能性を示唆している。 本ペアレント・トレーニングの実施テキストは、研究協力者との協議をもとに作成した。テキストの内容は、本ペアレント・トレーニングの目的、全5回の構成について記載した。実施者向けのテキストでは、トレーニング各回の進行方法や、保護者との関わり方についても記載した。保護者向けのテキストでは、イラストと平易な文章で、各回の内容の関連が分かりやすくなるようにした。
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