研究課題/領域番号 |
25790013
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
米谷 真人 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (40578647)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 酸化チタン / 結晶面 / 色素増感太陽電池 / ペロブスカイト太陽電池 / 電子移動 |
研究実績の概要 |
酸化チタンアナターゼ結晶面として、(101)、(001)、(010)面が共存するアナターゼ酸化チタンナノ粒子の合成を試み、各粒子におけるモデル色素からの注入特性をスタンボルマーモデルを適用し、解析した。その結果、色素から酸化チタンへの注入特性が従来の(101)面に比べて、活性な(001)および(010)面にて向上することが明らかとなった。この結果を色素増感太陽電池に適用するべく、メソポーラスTiO2電極を構築し、注入特性が通常低い近赤外領域色素を担持して太陽電池デバイス特性を測定したところ、従来系に比べて可視光を吸収する増感色素においては差異は見られなかったものの、近赤外領域色素においては、明確な向上が(010)面のを多く含む色素において確認された。 さらには、可視域および近赤外域を吸収する2種類以上の色素を酸化チタン上の別々のファセット面に吸着させることで、色素同士の相互作用のない共吸着系を構築することを試みた。共同研究者である、結合基として従来のカルボン酸、および、特許申請中の新規アンカーの、結晶面に対する吸着特性の違いを明らかにし、共吸着系への適用を行った。また、新規の吸着アンカー基の結合状態について、赤外吸収測定および光電子分光法により評価を行い、新規アンカー基の窒素原子と酸化チタン上のTiとの相互作用に帰属される結果を得た。 さらに、塗布法による異方性ナノ粒子配向制御として、既に報告済みのナノ粒子表面修飾による異方性酸化チタンの配向制御技術を適用し、電子拡散特性の向上を確認した。 さらには、これらの概念を新規かつ高効率な固体系太陽電池であるペロブスカイト有機無機ハイブリッド太陽電池へ適用し、電子移動特性の向上指針を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画していた、色素増感系については、既に当初計画した電子移動特性の向上についておよび、吸着特性の制御の点で明らかにしており、さらには、近年注目させるペロブスカイト有機無機ハイブリッド太陽電池への適用を行い、太陽電池効率向上に向けた種々の基礎的知見を明らかにし始めている。従って、当初予定していなかった領域への展開を進める段階にあり、本研究は計画以上に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
色素増感系については、(100)面を多く露出した酸化チタンで、電子移動特性が飛躍的に向上することを見出しており、この結晶面を利用した電子移動特性の制御指針確立と色素増感太陽電池の高効率化を目指す。 さらには、結晶面およびその結晶面を多く露出する異方性結晶の配向制御により制御されるナノモルフォロジにより、形成されるペロブスカイト結晶構造、電子移動物性が大きく変化することを見出しており、これを大きく展開し、当初予定していなかったぺロブスカイト太陽電池系での、結晶面を利用した電子移動特性の向上に向けた基礎学理の確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬等消耗品費および学会費について、他の研究助成によりまかなうことで研究を進めることができたため、次年度に繰り越して学会費・消耗品費等への利用を計画したため。
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次年度使用額の使用計画 |
学会費・消耗品費等にて使用予定
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