研究課題
酸化チタンの結晶面に依存する塗布型太陽電池の電子移動特性に対する影響として、色素増感太陽電池への適用に関する研究を推進し既に一定の結果を得たため、本年度では色素増感と類似の構造を有し、同様の酸化チタンナノ粒子ペーストの塗布焼成により形成されるn型半導体メソポーラス薄膜を電荷収集電極として用いるペロブスカイト太陽電池について、結晶面による界面形成への影響と電荷移動特性との相関について明らかにする研究を推進した。1.界面接合性への結晶面の効果ルチル型酸化チタン単結晶を基材として用い、ペロブスカイト結晶形成前駆体中のハロゲン化鉛源として、PbCl2とPbI2それぞれを含む場合について、ペロブスカイト薄膜形成の後にDMF溶媒で膜を溶かし、酸化チタン表面の残留化学種についてXPSにより解析を行った。結果として、Clを導入した系において、導入しない系に比べて非常に強い酸化チタン上へのPbの親和性が確認された。さらに露出する酸化チタンの結晶面方位によってこの結果が大きく違。一方で、Clを導入しない系においては、同様の親和性の違いがなく、結晶面へのClの親和性の違いにより現れており、さらには、露出結晶面の配位不飽和チタンの表面密度の違いによりPbの親和性に違いが現れていることを明らかにした。この知見を導入してメソポーラス酸化チタン表面に同様にペロブスカイト薄膜を塗布形成し、これをDMFにより洗浄し、これをReversed Double-beam PASにより測定を行った結果、接合性の向上による大きなトラップ密度の低減を示唆する結果を得た。2.電子移動特性への露出結晶面の効果電子移動特性が露出結晶面の比率により電子移動特性が違うことを既にインピーダンス分光法により確認しているが、今回上記同様にRDB-PASの測定によりCBおよびトラップ準位の比較と電子移動特性との相関について明らかにした。
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