本研究ではプラズモニクス材料として安価で従来の貴金属材料を上回る機能を示す材料の作製・評価を目的として研究を実施した。特にベースメタル合金と呼ばれる銅やアルミニウムなどを中心とした材料の合金系での誘電率決定を目的として研究を実施した。 本研究を通して一連の金属材料の複素誘電率を決定するためのシステムの構築を完成させた。特に角度依存の光透過・反射スペクトルから精度よく誘電率を決定することができるようになった。これを用いて、従来の貴金属合金系での誘電率を世界で初めて決定すると共に、金属の持つ自由電子の振舞とプラズモン共鳴との関係性について定量的に明らかにすることに成功した。 これらの知見と共に、銅・アルミニウム合金系での誘電率決定に向けて実験を重ねた。幾つかの組成で誘電率を決定するに至ったが、金銀銅などと比較して、表面酸化物の影響が大きく、計測精度を向上させることができなかった。しかしながら自由電子の電気伝導度の点で、良い特性を示す結果が得られ、今後測定精度を向上させることで、有用な材料を見出すことができることが示唆される結果が得られた。
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