研究課題/領域番号 |
25790023
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
根岸 良太 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30381586)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ナノカーボン / グラフェンナノリボン / 成長 / 電気特性 |
研究概要 |
本研究では、次世代電子デバイス材料として期待されるグラフェンナノリボン(GNR)を実用化する基盤技術として、(1)乱層構造を形成した(乱層構造型)GNR層数制御法の確立、及び(2)層数制御した多層GNRをチャネルとした電界効果トランジスタ(FET)を構築する。さらに実用的デバイス応用に向け、(3)乱層構造型多層GNRのキャリアドーピング技術と(4)集積プロセスを開発する。この目標達成に向けてH25年度では、二層カーボンナノチューブ(CNT)を成長核としたグラフェン層成長によるGNRの多層化を試みた。ここで成長温度とカーボン原料となる成長ガス熱分解温度を独立して制御可能な多温度ゾーン気相化学成長(CVD)法により、熱分解温度(~800℃)に対して成長温度を若干低く(~700℃)設定することで、気相中のカーボン原子・分子の会合反応によるアモルファスカーボンの生成を抑制しつつ、成長に適切なカーボン成長種の供給を試みた。成長量の評価では、CVD成長前後で同一のGNRに対する走査型原子間力顕微鏡観察を行った。その結果、CVD成長前後でGNRの有意な高さ変化が観察され、グラフェンの層成長を確認した。さらに詳細な構造解析から、(1)成長したグラフェン層がLayer-by-Layerモードで進行していること、(2)GNRのエッジサイトからも沿面成長が進行していることを見出した。この結果は、GNRをテンプレート構造として利用することで自己組織的にGNRを多層化することができるだけでなく、層数制御が可能であることを示唆している。さらに本年度は多層GNRの電気測定評価に向けて、成長前のGNRをチャネルとした電界効果トランジスタ作製プロセスを確立し、Ion/Ioff ~3と良好な電気特性を確認した。次年度ではさらにプロセスを改良して、同一のGNRに対する成長前後の電気特性評価を進める計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度では、本研究課題達成の要となるグラフェンナノリボン(GNR)の多層化合成に成功した。さらに、詳細な構造解析から、沿面成長や層数制御が可能であることを見出した。本成果は、GNRの構造制御が本手法により可能であることを示唆しており、概ね順調に進展している。今後は、構造制御されたGNRの電気特性評価を進め、その制御性について詳細に解析を進める計画である。
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今後の研究の推進方策 |
H26年度では、(1)前年度確立したGNR多層化成長法の有効性を検証するため、同一のGNRに対して成長前後の電気特性評価及び構造解析を進める。電気特性評価では、GNRをチャネルとした電界効果トランジスタ構造を作製し、GNRチャネルにおけるキャリア輸送特性を解析することにより、多層化による静電容量やIon/Ioffの変化などを明らかにする。(2)加えて、グラフェンに対して電子・ホール供与性を持つ芳香族分子のGNRへの吸着や窒素プラズマ処理により、乱層構造型多層GNRのp型・n型チャネル形成技術の確立を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度実施予定していた実験を来年度に変更したため、そこで用いる材料費も来年度予算に計上したため 消耗品(材料費)として使用予定
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