本研究では、多層グラフェンナノリボン(multi-GNR)形成技術の開拓に向けて、アンジップ法により合成した2層GNRを成長核としたグラフェン層の気相化学成長(CVD)によるGNRの多層化形成に成功した。形成したグラフェン層のラマン分光法による構造解およびこれをチャネルとした電界効果型トランジスタによる電気伝導評価により(1)新たに形成したグラフェン層は層間相互作用の弱い乱層構造を形成していること、(2)多層化の効果によりオン電流が向上していることが観察された。この結果は、優れた電気伝導特性を有することが理論的に予測されていた多層GNRの物性を初めて実験的に明らかにした重要な成果である。
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