研究課題
本研究課題では、ナノ空間が生み出す回折光を利用したエクソソームの非破壊・非標識カウンティングデバイスの開発を行った。申請者は、ナノ空間が生み出す回折光を利用した非標識検出法を開発し、200 nmのナノ空間を用いて1分子DNAを非標識検出することに成功した。さらに、本非標識検出法はナノ流路に導入された物質の屈折率変化に応じた非標識検出を行っていることを実証し、世界で初めてDNA増幅過程を非標識で検出することに成功した。また、直径100 nm程度の粒子を1分子レベルで非標識に検出するために、粒子を導入した際の内部の屈折率変化が大きくなるように高さ150 nm、幅150 nmのナノ空間や、直径数10~数100nmのナノ構造体を有する微小流路を作製した。それら流路に参照試料として血漿や尿等の生体サンプル(エクソソーム無し)を、検出試料としての血漿や尿等の生体サンプル(エクソソーム有り)を導入することにより、参照信号と検出信号を測定し、エクソソームの高感度検出に成功した。また、屈折率変化による回折光の変化に基づいた非標識検出法だけでなく、電流値の変化による非標識検出法の開発にも取り組んだ。次に、正常細胞とがん細胞のエクソソームを非破壊・非標識でカウンティングし、信号強度の分布の変化により、正常細胞とがん細胞の違いを認識することに成功した。また、エクソソームの高感度非標識検出を達成した後、エクソソームに内包されるmiRNA量の増減を検出し、miRNAの発現量の差による信号強度の差をデータ処理することで信号強度に応じた分布図の作成を行った。本研究成果は、がん診断応用やがん発症機構解明・iPS細胞のがん化検出等に応用可能であると考えられる。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 2件) 産業財産権 (1件)
Nano Letters
巻: XXX ページ: XXXX-XXXX
10.1021/acs.nanolett.5b00783
Analytical Sciences
巻: 31 ページ: 153-157
10.2116/analsci.31.153
Scientific Reports
巻: 4 ページ: 5252-5259
10.1038/srep05252
Israel Journal of Chemistry
巻: 54 ページ: 1556-1563
10.1002/Ijch.201400102
Micro Total Analysis Systems 2014
巻: 1 ページ: 2161-2163