研究課題
環状DNA1分子をリアルタイムかつ直接にダイナミクスを観察するための2次元観察法と1次元観察法を構築するために、ナノメートルオーダーのナノ流体チップを作成し、当該チップ構造によるリアルタイム・ダイナミクス観察の有用性とチップ構造の最適化について実験的な確認を行った。1次元観察については、マイクロ流体チップにより環状DNAの伸張手法の確立と形態変化ダイナミクスの解析を達成した。当該手法をより天然なDNA分子(DNAの化学修飾や物理的な接触がない状態)に適用することを目的としてナノ流体チップに展開するため 100nm程の流路幅および深さを有するナノ流体チップの検討も併せて行った。統計解析をするためには容易に多量のナノ流体チップを作製する必要があるため、PDMSによるナノ流体チップを作製するための鋳型の検討を中心に行った。PDMSナノ流体チップの鋳型作製の検討がほぼ終了することができ、来年度にナノ流体チップ作製の見通しを得て、ナノ流体チップによる1次元解析を実施する見込みである。また、2次元観察においては、昨年度の400nmの深さを持つナノ流体チップよりもさらに小さい深さを持つナノ流体チップの作製を行い、より完全な輪の状態に近づけるための検討を実施し、400nmの深さを持つナノ流体チップよりも、より完全な輪の状態に近づけた巨大環状DNAのリアルタイム・イメージングを達成し、それによる解析とリアルタイム・イメージング手法の確立を進展させることができた。
3: やや遅れている
一時的な担当業務の変更により、当初見込んでいたよりも当該研究課題に割くエフォートが少なくなってしまったため。
研究を効率的に推進するため、名古屋大学大学院工学研究科、同志社大学 生命医科学部、香川大学工学部(共同研究およびナノテクノロジープラットフォーム・微細加工プラットフォームの活用)と連携し、ナノ流体チップの作製や1分子ダイナミクス解析ついて連携・協力していく。
今年度推進予定のナノチップ製作費やナノチップを用いることによる1分子リアルタイム光学系の改良、分子生物学試薬等の購入、学会発表等の旅費に主として使用する。これにより、一時的な担当業務の変更により実施できなかったナノチップによる環状DNA観察手法をナノチップ作製により確立し、当該ナノチップによる熱力学的なダイナミクスや核酸結合酵素等との相互作用について研究を実施することで、研究計画期間全体でみた当初計画通りの研究推進が達成できる見込みのため。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Nano Lett.
巻: 13 ページ: 1877-1882
10.1021/nl304247n