本研究では,世界中で農作物に深刻な被害を及ぼしている植物寄生性センチュウの代表種であるサツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita, 以下ネコブセンチュウ)を対象とし,マイクロ流路デバイスを用いることで,寄生にかかわる生化学的行動の新規分析手法を確立した。作製したマイクロ流路デバイス上で,アガロースゲルの導入によりネコブセンチュウが運動可能な環境を構築すると共に,拡散に伴う化学物質の濃度分布を定量的に明らかにした。本分析手法により,硝酸カリウムに対するネコブセンチュウの化学走性(濃度勾配に対する誘引,忌避行動)は,濃度勾配の値により変化することを見出した。
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