非弾性電子トンネル分光(Inelastic Electron Tunneling Spectroscopy: IETS)を用いた単分子膜におけるトンネル電流の経路解明にむけて、IETSにおける探針先端の形状の影響を、走査トンネル顕微鏡と原子間力顕微鏡を組み合わせて調べた。探針先端の原子数が一個の場合、探針先端の原子数が三個の場合に比べて、Cu表面上のCO分子に対するIETSの強度が4倍程度大きくなることを見出した。この結果を、(a)全トンネル電流に対する分子を介したトンネル電流の割合、ならびに(b)分子を介したトンネル電流における非弾性トンネル過程の能率という二つの観点から解釈した。
|