研究課題/領域番号 |
25790056
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
竹内 正太郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (70569384)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | HOPG表面 / アルミニウム / ライプニング現象 / ラジカル窒素 / エッチング / 粒界 |
研究概要 |
本研究課題は、IV族半導体:ゲルマニウム(Ge)を用いた二次元シート結晶:ゲルマネンを不活性・絶縁膜基板上に形成することを目的としている。以下に平成25年度に実施した研究成果を述べる。 ①HOPG基板上Ge成長ではゲルマネンは形成されないことがわかっている。これを打開するためにはHOPG基板表面を活性化させる必要がある。本研究では、HOPG基板上に3軸[111]配向エピタキシャル成長が期待できるアルミニウム(Al)をHOPG基板上に最大2nm蒸着し、その成長表面を走査型電子顕微鏡および原子間力顕微鏡で観察し初期成長機構を解明した。Al原子は、HOPG基板上のステップ・テラス領域で成長するが、ステップ領域に優先的に成長する傾向があった。また、室温蒸着ではAl原子の拡散距離が短くなるため、ステップ・テラス領域で10nm程度のAlクラスターを形成した。一方で、蒸着温度上昇による拡散距離増加のためAl原子はステップ端に到達しやすくなり、ステップ領域でのクラスター密度の増加を確認した。また、ステップ領域でのAl原子の拡散による30~50nmのAlアイランドの形成を確認した。室温蒸着後に基板熱処理を行うと、成長表面でライプニング現象が起こることを確認した。この結果から、Alの表面拡散活性化エネルギーは0.15eVと求められた。 ②HOPG基板上へ六方晶系絶縁膜形成を実現するため、窒化アルミニウム(AlN)に着目した。H25年度は新規にラジカルソース源を導入したため、事前試験としてラジカル窒素照射によるHOPG基板表面の形態変化を調べた。その結果、HOPG基板表面へのラジカル窒素照射によって基板表面に存在する粒界領域で欠陥エッチング反応が確認された。その活性化エネルギーは0.35eVであることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MBE装置故障などのトラブルがあったが、当初の目的であったHOPG基板上Al初期成長機構の解明まで進むことができた。また、ラジカルソースの新規導入、装置への取り付けと動作確認がスムーズに進み、ラジカル窒素照射によるHOPG基板表面の欠陥エッチングを確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
H26年度は以下の点に注力していく予定である。 ①ゲルマネンをポストスケーリング世代のGe系MOSFET形成技術の開発に応用することを検討する際、ゲルマネン-オン-インシュレータ構造は必須のデバイス構造となる。そのため、ゲルマネンは絶縁膜基板上に成長する必要がある。そこで、HOPG基板上に成長したAlに対してラジカル窒素を照射することにより、ワイドギャップ材料であるAlN薄膜をHOPG基板上に形成する。AlN結晶は六方晶系の結晶構造を有するため、ハニカム格子構造を有するゲルマネンと結晶学的に相性がよい。走査型電子顕微鏡および反射高速電子線回折法を評価ツールとして使用し、基板温度・Ge蒸着量を実験パラメータとすることでGeの初期成長過程を詳細に解析し、窒化物半導体基板上ゲルマネンエピタキシャル成長技術の開発を確立する。 ②ゲルマネンを電子デバイス応用として考えた場合、その界面における化学結合状態、バンド構造、キャリア密度、キャリア移動度等の電子物性評価は非常に重要な研究項目の一つに挙げられる。本研究項目では特にX線光電子分光法による各原子の化学結合状態・バンド構造の詳細な解析を行うこととする。また、作製した試料は放射光施設・Spring-8にてX線光電子分光による分析も予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が生じた理由は、次年度研究を進めるにあたり必要な物品を購入するためである。 これまでの研究成果を参考に翌年度分として請求した助成金と合わせて、試料の作製および評価分析に必要な真空装置部品、蒸着源材料を購入する。
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