研究課題
本研究では、シンクロトロン放射光励起による軟X線発光・吸収分光法を用いて薄膜型CIS化合物系太陽電池における光吸収層CIS(銅(Cu)、インジウム(In)、セレン(Se))の非破壊的電子状態分析技術を確立することを目的としている。本課題達成のために、従来のX線分光器では困難であった幅広いエネルギー帯域(1~3.5 keV)に現れるCIS化合物及び界面からの発光スペクトル(Cu-L(0.9 keV)、In-L(3.4 keV)、Se-L(1.4 keV)等)とその微細構造を高分解能・同時計測することができる新しい多層膜を応用したラミナー型(矩形状)不等間隔溝多層膜回折格子分光器を開発した。今年度は、(1)広帯域Ni/C多層膜回折格子の製作、(2)広帯域Ni/C多層膜トロイダル前置鏡の製作、(3)放射光による多層膜光学素子の性能評価、(4)軟X線分光器による発光分光実験を実施した。残念ながら(4)については、装置の調整不足から未だCIS化合物からの発光スペクトルを計測するまでに至っていないが、(3)の放射光を用いた評価実験により、本研究で考案した広帯域Ni/C多層膜が機能していることを明らかにできた。従って、本課題はほぼ達成できたと考える。今後、装置の調整を行い、1~3.5 keV領域に現れるCu、In、SeのL発光の同時計測が可能であることを明らかにしたい。
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