研究課題/領域番号 |
25790061
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田口 敦清 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70532109)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 近接場ラマン分光 / 先端増強ラマン顕微鏡 / アトムトラッキング / 分子ダイナミクス |
研究概要 |
近接場プローブで分子を追跡するシステムを構築した。アトムトラッキング法をベースに、以下の処理を行った。(1)標的分子上にプローブを位置させた状態で、プローブ座標に微小振幅の正弦波変調をかけた。(2)プローブZ信号を解析し、プローブ直下の形状の傾きを算出した。z信号をプローブに印加した変調周波数でロックイン検出した。(3)検出された傾きがゼロになるように、プローブ位置をフィードバック制御し、標的の極大点にプローブ位置を固定した。 アルゴリズムの動作を確認するために、擬似的な分子として直径50nmの金ナノ粒子を用い、金ナノ粒子の位置を追跡した。その結果、金ナノ粒子の頂点にプローブが固定され、ナノ粒子の位置に変位を与えても、ナノ粒子の位置にプローブが追従して移動することを確認した。正弦波モジュレーションの振幅10nm、周波数は30Hzで追跡を行った場合、50nm/sまでの速度で追跡が行えた。しかし、標的の移動速度が速くなると、追従できない問題が生じた。高速で動く標的を追従するために、変調周波数を大きくする必要があり、z信号の帯域を広げる必要が生じた。そこで、より広帯域でZ信号を得ることが可能なチューニングフォークコントローラーを導入し、プローブの制御を周波数変調モードで行うシステムへと拡張した。また、チューニングフォークセンサーに用いるチューニングフォークの選定、I-V回路の作製などを行った。振動ノイズを軽減するために、除振機構を導入した。 また、高感度なラマン検出のための高開口数対物レンズおよび、プローブアライメント用のフォトダイオードモジュールを導入し、装置に組み込んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に予定していた追跡システムの構築が完了できたため。
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今後の研究の推進方策 |
1.構築した分子追跡システムをTERS顕微鏡に組み込みシステム統合する。 2.TERS測定中のドリフトを補償し、長時間の定点分光測定を行う。 3.運動分子の追跡分光と時間分解スペクトル解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため、当初の見込額と執行額は異なった。 少額の次年度使用額が生じたが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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