研究課題/領域番号 |
25790070
|
研究機関 | 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター |
研究代表者 |
月精 智子 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 開発本部開発第二部バイオ応用技術グループ, 副主任研究員 (80520220)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | バイオセンサ / ソルビトール / 糖尿病合併症 / 光ファイバ / 蛍光検出 / 酵素サイクリング |
研究実績の概要 |
糖尿病合併症のバイオマーカーとしてソルビトールの有効性が示唆されている。本研究は、ソルビトールを選択的かつ高感度に計測できる小型なバイオセンサシステムを開発し、バイオマーカーとしてのソルビトールの有効性を検証することを目的としている。今年度は、昨年度に構築した酵素サイクリング法を用いたNADH検出システムを応用し、「ソルビトールバイオセンサの開発」を検討した。 本研究では、ソルビトール脱水素酵素の触媒反応により生成したNADHを、ホルマザン色素を用いて比色定量することで、ソルビトールの測定を行う。まずは、使用するソルビトール脱水素酵素の選定を行い、微生物由来の酵素を用いることで、高選択性を有するセンサの構築が可能であることを確認した。さらに、使用する緩衝液の種類やEDTAの濃度、測定時間等の諸条件についての検討を行い、ソルビトール計測条件の最適化を行った。その結果、酵素サイクリング法を用いたNADH検出システムを応用したソルビトールバイオセンサは、0.2~50 μmol/Lの範囲でソルビトールの定量が可能であることが分かった。 一方で、先行研究にて構築してきたNADH蛍光検出システムに関しても、ソルビトール計測における諸条件(補酵素の濃度、酵素固定化方法等)について検討し、ソルビトールバイオセンサを構築した。その結果、1.0~1000 μmol/Lの範囲でソルビトールの定量が可能であることが分かった。 今年度構築した両センサとも、臨床検査会社で用いられている糖尿病合併症の診断値を含んでおり、糖尿病合併症の評価に有効である可能性が示唆された。今後は、実際の生体試料を用いたソルビトール計測に展開していく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、ソルビトールバイオセンサの開発を行い、糖尿病合併症の診断値を含む範囲でソルビトールの定量が可能であることを確認した。今年度の研究実施計画通り、ソルビトールバイオセンサの開発を行い、開発したセンサの特性評価を実施したことから、本研究は順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでに構築したNADH検出システムの改良を進めながら、ソルビトールバイオセンサの評価を進めていく。その後、開発したソルビトールバイオセンサを用いて、糖尿病モデル動物の生体液中ソルビトール計測に展開させる予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、先行研究で使用していた光学機器や試薬等を代用して実験を遂行したため、予定していた物品費が抑えられた。また、今後の動物実験に向けて、糖尿病合併症モデルラット作製等の準備を行う予定であったが、委託業者との打合せが難航したため、外注費の執行が遅延している。
|
次年度使用額の使用計画 |
来年度は、今年度構築したソルビトールバイオセンサの有効性評価として、動物実験の委託費を中心に計画している。また、これまでの研究成果発表及び情報収集のため、国内外の学会参加や論文校閲を予定している。
|