本研究では、高密度のレーザー生成プラズマを高周波四重極型(RFQ)線形加速器に直接入射することによって、大強度高電荷重イオンビームの生成・加速の実現を目的としている。 平成27年度は、大強度かつ高電荷の重イオンビームを生成するためにこれまで米国ブルックヘブン国立研究所にて行ってきた、高出力ピコ秒レーザーを用いたプラズマ生成実験結果の解析を行った。これまでより高電荷の重イオンを生成したこと(鉄イオン21価)や、レーザー照射条件と価数分布の関係等についてまとめ、8月にニューヨークで開催されたイオン源国際会議にて発表した。 また従来の直接プラズマ入射法では、加速しようとするイオンと同程度の電荷質量比を持つ複数の荷電状態のイオンがRFQ線形加速器に同時に入射され、加速されることになる。不必要な荷電状態のイオン加速を防ぐため、加速方向ビーム圧縮過程における複数荷電状態のビーム軌道解析を行い、その結果を基に新たな加速・引出電極を開発した。これは加速方向ビーム圧縮時に通常用いられない不連続な加速位相を採用することによって、加速効率を落とすことなく不必要な荷電状態のイオン加速を防ぐものである。本開発について9月に横浜で開催された国際重イオン加速器会議にて発表を行った。
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