研究概要 |
超高エネルギー加速器ターゲット室内において、放射性エアロゾルが成長する際の最も支配的な過程を明らかにするため、本研究課題の予備実験の際の放射性エアロゾルの採取場所であったフェルミラボのAP0(反陽子ターゲットステーション)において、非放射性エアロゾルの粒径分布に関する情報を得ることを試みた。 AP0において、パーティクルカウンタを用いて非放射性エアロゾルの採取を行ったところ(室内のエアロゾルを<0.3μm, 0.3-0.5μm, 0.5-1μm, 1-2μm, 2-5μm, >5μmの6種類の粒径に分級するパーティクルカウンタを用いた)、ほとんどの(>95%)非放射性エアロゾルの粒径が<0.3μmであることが分かった。 上記の結果、AP0において、非放射性エアロゾルの量が放射性エアロゾルの量よりも圧倒的に多いこと、また非放射性エアロゾルの粒径はほぼ均一であることを確認した。このような環境下であれば、生成した放射性エアロゾルが核となり、周りの非放射性エアロゾルと衝突しそれらを取り込むことにより、粒径が大きい放射性エアロゾルに成長する過程が支配的になると考えられる。加速器ターゲット室内で上記の過程が支配的であれば、予備実験における、「半減期の短い核種の放射性エアロゾルの粒径が小さく、半減期の長い核種の放射性エアロゾルの粒径が大きくなる」という結果が説明される。 また休止したAP0とは別の120 GeV 陽子ビームライン(M01)を用いて、新たに放射性エアロゾルの分析を行った。H25年度は、金、ニッケルの純金属のターゲットに個別に120 GeV の陽子ビームを照射し、ターゲット周辺に生成する放射性エアロゾルのサンプリングを試みたが、予備実験で得られたような多くの放射性核種に関する粒径分布の情報は得られなかったため、現在エアロゾルの採取方法を検討中である。
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