研究実績の概要 |
平成28年度は、これまでに得られた120 GeVの陽子ビームを照射した純金属のターゲット(Al, Co, Ni, Cu, Y, Au)中に生成した軽核:Be-10, Al-26の生成断面積の測定結果と、過去の断面積データの報告例から、Be-10, Al-26の生成断面積の入射エネルギー依存性、標的核依存性を考察し、本研究で得られた軽核の生成断面積には、結合エネルギーや標的核の原子核半径が関連していることを示唆した。尚、得られたデータの中で未発表であった、Co, Ni, Auターゲットにおける120 GeVの陽子によるBe-10, Al-26の生成断面積について、9th International Conference on Nuclear and Radiochemistry (NRC9)でポスター発表を行った。現在、得られた軽核の生成断面積データと上記の考察内容に関して、投稿論文を準備中である。 加速器ターゲット室内で生成される放射性エアロゾルには、Be-7, Na-22, Na-24などの軽核を含むものが多いことが知られており、本研究で生成断面積を測定したBe-10, Al-26を含む放射性エアロゾルも多く生成していることが期待される。研究期間中に得られた軽核の生成断面積データは、加速器ターゲット室内の放射性エアロゾルの種類、量、粒径等に密接に関係することが考えられるため、遮蔽分野及び内部被ばくの観点から、重要な知見になると考えられる。また上記の生成断面積は、核データ分野においても興味深いデータである。
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