研究課題/領域番号 |
25790085
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
豊嶋 厚史 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 先端基礎研究センター, 研究副主幹 (40414578)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 超重元素 / 連続溶媒抽出 / 連続液体シンチレーション測定 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、超重元素のひとつである113番元素(E113)の酸化還元電位や[113]5+のフッ化物錯形成反応を明らかにするために、電気化学分析法とフローインジェクション溶媒抽出法を組み合わせた連続実験が可能な分析装置を開発することである。平成26年度においては、連続溶媒抽出分離装置ならびに113番元素のα線を観測するためのオンライン液体シンチレーション測定装置の製作を行った。連続抽出分離装置では、製作した装置に疎水性のメンブレンフィルターを利用した水相と有機相の二相分離テストを行い、流速と圧力の関係性などを確認した。また、抽出平衡の到達時間を短縮するための連続抽出反応カラム部では、細かなテフロン片を充填した反応槽ならびに液流を内部で螺旋運動させるミキサー型反応槽を製作し、内径や長さに対する内圧の依存性を測定した。接続するテフロンチューブの内径や長さを変えるなどして出来るだけ低圧力での実験条件を検討した。また、抽出装置に接続するオンライン液体シンチレーション測定装置では、溶液の導入部ならびに排出部から進入してくる光がノイズとなる。そのため、装置内部の溶液流路を直進させず90度に二回曲げることで光の進入を防ぐ工夫をした。さらに、流入してくる測定試料がシンチレーション測定器の感光面にできるだけ長い時間留まるよう、感光面前面にジグザグ流路を設けた。以上のように、平成26年度においては連続抽出からシンチレーション測定までの装置を製作し、実験を行う準備を整えることが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
受注製作の光電子増倍管の購入に時間を要したため、その実寸に合わせたオンライン実験装置の製作開発も遅れた。そのため、予定よりも研究の遂行が遅れている。製作後のテスト実験は順調に進めている。
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今後の研究の推進方策 |
E113の半減期は短いため、電解酸化や抽出平衡などの化学反応が極めて速い事が重要である。そのため、その同族元素In、Tlの放射性同位体(RI)トレーサーを用いて、電解酸化や抽出分離が速く、抽出分離も可能な化学的条件を探る。水溶液は、錯形成能の最も小さな過塩素酸並びに過塩素酸とフッ化水素酸の混合水溶液を用いる。抽出剤は、Tl+とTl3+で抽出率が異なり、一般的に抽出が速いとされるアミン系のイオン対抽出剤を用いる。また、E113実験と同じ実験条件でInとTlの電解酸化ならびに迅速抽出挙動を調べ、迅速実験が可能である事を実証する。さらに、液体シンチレーション測定装置の最適化を図るため、225Ac線源を利用した実験を行う。225Ac線源は229Thから製作するが、加速器を利用しなくてよいため、効率的に実験を進める事ができる。225Ac線源から反跳効果によって飛び出す221Frをガスジェット法で実験装置に搬送し、溶媒抽出した後、そのα線と娘核217Atのα線の崩壊チェーンを測定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた研究計画に比べ実際の研究の遂行状況が遅れており、購入予定の物品を次年度に繰り越したため。
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次年度使用額の使用計画 |
物品費ならびに国際学会での旅費として使用する計画である。
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