放射光を光源とする反射型の小角散乱(GISAXS)法において、専用のスピンコーターを開発し、高時間分解能の測定手法を開発することに成功した。本測定手法を用いて、高分子ブロック共重合体薄膜の形成過程をミリ秒単位で追跡した。その結果、溶液状態において、高分子ブロック共重合体のミクロドメインが、ミセル構造を形成していることがわかった。スピンコート中の溶媒の揮発中には、ミセル構造から面心立方格子(BCC)へと転移し、その後にシリンダー構造へと転移することがわかった。本測定結果から、高分子ブロック共重合体薄膜の構造形成メカニズム解明において、溶剤の揮発速度・高分子と溶剤との親和性が重要であることが示唆された。 また、スピンコート中における空間不均一性の検証を行うため、専用のスリットシステムを用いて測定を行ったところ、散乱強度が非常に弱く測定が困難であった。 そこで、GISAXS法とCT(コンピュータートモグラフィー)法を組み合わせたGISAXS-CT法に取り組み始めた。その結果、100μmの空間分解能での像の再構成に成功した。GISAXSではフットプリントがcmオーダーであることから、100倍程度の向上を可能とした。
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