研究課題/領域番号 |
25800006
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
直井 克之 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (40647898)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 量子アフィン代数 / minimal affinization / 次数付き極限 / fusion積 |
研究実績の概要 |
本年度は主に以下の二つの研究を行った。 (1) G2型のminimal affinizationおよびその古典極限の研究 minimal affinizationは量子アフィン代数の有限次元表現の重要な族であり、近年多くの研究がなされている。昨年度は古典型のminimal affinizationについて研究を行ったが、本年度はそれらの結果の拡張としてG2型のminimal affinizationについて研究を行った。具体的には、G2型のminimal affinizationに対しその古典極限を調べ、それらの定義関係式を決定した。またその関係式を用いることで、有限型部分代数に制限したときの重複度の不等式による明示的な公式を得ることができた。 (2) A型のfusion積の研究 量子アフィン代数の有限次元表現のテンソル積の古典極限は、それぞれの表現の古典極限のテンソル積とは一致せず、多くの場合fusion積と呼ばれる特別な構成によって得られる加群となることが知られている。そのためこのfusion積を調べることは量子アフィン代数の有限次元表現を調べる上で重要な問題である。本研究では、A型で最高ウェイトが与えられた基本ウェイトの何倍かであるような既約表現に対し、それらのfusion積の定義関係式を決定した。この結果の帰結として、fusion積の間に全射が存在するための必要条件が得られた。これは既約加群の指標に関して知られていたSchur正値性と呼ばれる性質をカレント代数を用いて再構成した結果とみなすこともでき、その意味でも重要な結果であると考えている。 これらの研究成果は現在投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
量子アフィン代数の有限次元表現については、古典極限を調べるという手法が非常に有効であったため、研究代表者が当初考えていた以上の進展が得られた。またfusion積を調べる、という新たな視点が得られたことも本研究において重要な進展であろう。。一方で、端ウェイト加群との関係については今のところ不明な点が多い。これらを鑑みて、"おおむね順調に進展している"という自己評価としたい。
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今後の研究の推進方策 |
端ウェイト加群とこれまで得られた結果との関係についてより深く考察を行っていくことが重要である。その際に、端ウェイト加群の古典極限を調べることが役に立つであろうと期待される。
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次年度使用額が生じた理由 |
おおむね計画通りに使用されているが、研究発表のための旅費の一部を先方が負担してくれたため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
旅費、および書籍などの購入に充てる予定である。
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