研究実績の概要 |
平成26年度は, 重み付き母関数についての研究を中心に研究を進めた. 特に, ヤング図形上の集合値半標準盤およびreverse plane partitionsの重み付き母関数に関して研究に進展があった. これらの重み付き母関数は, シューア多項式のK理論版であると思うことができる様な多項式であり, それぞれGrothendieck 多項式, dual Grothendieck 多項式と呼ばれている. シューア多項式にはその無限和に関する公式として, Cauchy formulaと呼ばれるものがよく知られている. Grothendieck 多項式に対する同様の公式をLascouxと成瀬が与えている. この公式は重み付き母関数に対する等式であるので, 重みを保存する全単射の存在を示唆するが, その全単射を与えるためのアルゴリズムを構成し証明を与えることができた. このアルゴリズムは, bumping と sliding というよく知られたアルゴリズムを組み合わせることで構成される. また, 平成26年度には京都大学数理解析研究所で組合せ論的表現論と表現論的組合せ論に関する研究集会を開催した. この研究集会では, 国内外の研究者による講演が行われ, 最新の研究動向についての情報収集を行うことができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成26年度は, 論文という形ではまだ公表できていないものの, ヤング図形上の集合値半標準盤およびreverse plane partitionsの重み付き母関数に関して研究に進展があった. 特に, 古典的なアルゴリズムを組み合わせ新しいアルゴリズムを構成することで, Grothendieck 多項式に対するCauchy formulaにbijective proofを与えているが, その研究の中で重み付き母関数の取り扱いに関する知見を得た.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は, 平成26年度に得られた成果を論文という形で公表できるよう準備を進める. また, アルゴリズムの構成に用いた方針は, dual Cauchy formulaのK理論版に対しても応用できる可能性がある. それに関しても証明を与えることも目標とする. また, 同様の対応が二分木上のナンバリングに関しても成り立たないか計算機実験等により確認をする.
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