研究実績の概要 |
平成28年度は主に3つの成果をあげた。1.前年度に引き続き特異曲線上のHall代数と量子トロイダル代数との関係を調べた。2. N=1超共形代数の特異ベクトルがUglov対称関数で実現できることを証明した。3.K理論的AGT対応に関して研究を進めた。特に質量場のない場合について幾何学的な証明を与えた。 1について、nodalな楕円曲線上の連接層に関するRingel-Hall代数のDrinfeldダブルの部分代数として量子トロイダル代数が実現できることを証明した。結果はプレプリント"Quantum toroidal algebras and motivic Hall algebras I. Hall algebras for singular elliptic curves", arXiv:1504.06254 にまとめた。 2については、変形Virasoro代数の自由場表示の極限から超共形代数の自由場表示を構成し、対応する特異ベクトルの実現を計算することでUglov対称関数が現れることを証明した。結果をプレプリント"Singular vectors of N=1 super Virasoro algebra via Uglov symmetric functions", arXiv:1508.06036 にまとめた。 3はインスタントンモジュライ空間に関するK理論版のstable envelopeとそれが誘導するK群上のR行列のふるまいを計算し、特にランク2の場合が変形Virasoro代数のintertwinerになっていることを証明した。この議論は一般のランクの場合にも適用できる。 その他に投稿中だった論文3本の校正を終え出版した。
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