研究課題/領域番号 |
25800019
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
平之内 俊郎 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30532551)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 類体論 |
研究実績の概要 |
今年度は主に、有限体上の多様体に関する Hermite-Minkowski 型の有限性定理と、局所体上の曲線の類体論について研究した。 前者については、まず G. Wiesend の高次元類体論にあったように、多様体の被覆に対して、多様体の中の全ての曲線に制限して、曲線の分岐理論を用いることで、もとの被覆の分岐を制限することが出来る。同じアイデアで l 進層の分岐を制限した P. Deligne による l 進層の有限性定理を用いることで、 分岐と次数を制限した有限体上の多様体のエタール被覆は有限個であることがわかった。論文を書き上げて現在投稿中である。一次元の場合に限っても、(Goss-田口による) Hermite-Minkowski の定理の関数体類似が得られたことになる。また分岐を制限した基本群の (像が有限な) 表現に関する有限性もいくらか得られた。 類体論については、すでに論文を書いて投稿しているが、その後修正すべき点が見つかり、大幅に論文を書き直した。詳しく述べると、正標数局所体上の曲線の相互写像の核が、最大可除 (maximal divisible) 部分群になると思われるが、基礎体の標数を p としたとき、この核が p可除になるかどうかは、まだ分かっていない。また相互写像の Pontrjagin 双対は、一般に全射になると考えられるが、これも曲線が良還元 (good reduction) を持つような特別な場合にしかまだ分かっていない。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
有限体上多様体に関する Hermite-Minkoswki 型の有限性定理については、当初すぐに完成できるとは思っていなかった。また、研究課題であった、局所体上の曲線に対する加藤-染川予想に関する論文がようやく出版された。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、現在投稿中の論文:有限体上多様体に関する Hermite-Minkoswki 型の有限性定理に関する論文と局所体上の曲線の類体論の論文を完成させることに集中したい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
計画書では、夏にドイツ渡航の予定であったが、韓国での研究集会での講演を依頼されたために、余剰額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
国内での研究集会出席等の旅費に使用する予定。
|