研究実績の概要 |
本研究は,ヒルベルト函数の挙動解析を積極的に行いながら,ネーター局所環(A, m)及び,そこに含まれるm-準素イデアルの構造の分類を目的とするものである。平成26年度の研究実績は下記の通りである。
平成25年度に引き続き,「巴系イデアルのヒルベルト函数による非Cohen-Macaulay環解析」に取り組んだ。特に,巴系イデアルの第2ヒルベルト係数の挙動についてホモロジカル次数の理論を用いての制御を試み,特徴づけを与えた。この研究成果は,後藤四郎氏(明治大学)との共同研究として実施され,同氏との共著論文として発行済みである。また,第36回可換環論シンポジウム(11月・IPC生産性国際交流センター)に於いても,この研究成果に関する講演発表を行った。 さらに,8月末より約3週間,ジェノバ大学(イタリア)に滞在し,M. E. Rossi教授と共に研究打ち合せを行い,その中で,本研究の予備課題であった「Sally加群論からのヒルベルト函数解析」にも取り組んだ。研究着手時の段階では,Cohen-Macaulay局所環内に於ける極大イデアルのSally加群について,階数が2以下の場合はその構造は既に知られていた。それに対して,本研究では,階数が3の場合に取り組み,その構造を決定することが出来た。この研究内容については,現在論文執筆中である。
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