研究実績の概要 |
本年度前半は研究実施計画に掲げた5つの目標のうち,目標③「Steuding予想の算術化」に関する名越弘文氏(群馬大学)との共同研究が進んだ.申請者が確立した同時普遍性の証明法(定符号正密度法)を利用することで,(i)2つの指標付保型L関数L(s,f_1,χ_d),L(s,f_2,χ_d) の実指標χ_d の変動に伴う同時普遍性 (ii) 2つのRankin-Selberg L関数 L(s,f_1*g), L(s,f_2*g)$の保型形式gの変動に伴う同時普遍性 を証明することに成功した.年度後半はこれらの結果と昨年度得た結果に関する論文執筆に主に取り組んだ. 一方,昨年度から継続して取り組んでいた目標④「Steuding予想の多重化」については,今年度末,L.Pankowski氏(Adam Mickiewicz University ), Y. Lee 氏(Incheon National University) らにより定符号正密度法と全く異なる手法を用いてほぼ完全な形で証明された.そのため,残念ながら目標④に関する研究は断念せざるを得ない状況となった.代わりの目標として多重佐藤-Tate予想の簡略化ともいえる「保型形式の係数符号の独立性」に取り組み始めたところである.
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