研究実績の概要 |
Parabolic な多様体の連結和上の熱核の長時間挙動を, Bielefeld 大学の Alexander Grigor'yan 教授, Cornell 大学の Laurent Saloff-Coste 教授と共同で研究し、以下の結果を得た。熱核の Laplace 変換を最大値の原理を中心部分と各エンドで用いるという新しい方法により、中心部分の on-diagonal な挙動は、増大度が最も大きいエンドに支配されることがわかった。これは増大度が最も小さいエンドにより支配されるエンドが non-parabolic な連結和上の熱核の挙動と本質的に異なることを示す新しい現象である。この中心部分の熱核の挙動と、Grigor'yan、Saloff-Costeの hitting probability, Dirichlet 熱核の評価の結果を合わせることで全ての2点間の off-diaginal な熱核の挙動も求めることができた。これにより、critical なエンドが1つ以下の連結和ではnon-parabolic な連結和で観察されていたようなボトルネック現象が起きないことがわかった。これは論文として投稿して受理された。 東北大学の小谷元子教授、岡山大学の河備浩司教授とともに、結晶格子上の非対称ランダムウォークの長時間漸近挙動を明らかにした。砂田により得られていた推移確率の局所中心極限定理の拡張として推移確率の漸近展開を求めた。また、弱収束として2通りの推移作用素の収束およびプロセスレベルでの収束である invariance principle を証明した。これらは論文として投稿して受理された。
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