収束群作用に対して、幾何学的有限な収束群作用との近さを表す深度という尺度を導入して研究している。 今年度は、昨年度に引き続き、「収束群作用の深度はどのような値を取りうるか」という問題について考察した。 深度が1である収束群作用、すなわち、幾何学的有限な収束群作用の逆極限として得られるがそれ自体は幾何学的有限でない収束群作用が存在することはこれまでに明らかにされている。そこで、次の段階として、深度が2である収束群作用の存在について考察した。深度が2である収束群作用の候補として、深度が1である収束群作用の逆極限として得られる作用を考えた。収束群作用の一般論から、この作用は収束群作用であることが分かる。また、収束群作用の深度の定義から、この収束群作用の深度が2以下であることも分かる。 この逆極限の深度が2であるかどうかを調べるために、収束群作用の深度が1以下であるための条件が必要となる。収束群作用の深度が0である、すなわち、幾何学的有限であるための条件は収束群作用がなされている空間の放物点と呼ばれる点たちの性質により記述できることが知られている。 そこで、収束群作用の深度が1以下であるための条件も放物点についての条件として記述できるかどうかについて考察した。今後の研究においてこの考察に対して部分的解答を得るためには、自由群などの具体的かつ比較的簡潔な群に限定して考察することも一つの方法であると考えられる。
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