研究実績の概要 |
最終年度も、球面の埋め込みで無限遠点での挙動が指定されているもの(long embedding)のなす空間のトポロジーについて研究を行った。 最終年度は特に、long embeddingのなす空間のdeloopingについて考察した。j次元のlong embeddingのなす空間(の変種)は(j+1)重ループ空間のホモトピー型を持つことが知られている。それが何のループ空間なのか、もとにある空間(delooping)についても研究が進んでいる。研究代表者は以前「位相的Stiefel多様体」とよばれる空間を使ってdeloopingを記述した。最終年度はこのことを元として、deloopingを球面の同相写像やホモトピー同値写像のなす空間との比較を試みた。応用として、Haefligerによる高次元球面の埋め込みの分類理論(1966)が、deloopingの連結性の言葉で説明できることがわかった。また埋め込みの空間のホモトピー群と球面の(安定)ホモトピー群の関連も示唆され、今後の研究を進めるべき方向がはっきりした。 このほか、大阪府立大の森谷駿二氏と、島根大の渡邉忠之氏と共に、3次元内の1次元long knotのなす空間の「分類空間」について考察した。分類空間の0次ホモトピー群についてはMostovoyによる研究があり、これを空間レベルに持ち上げるため、Galatius, Madsen, Tillman, Randal-Williamsらによる同境圏の研究におけるテクニックを利用するという方向が定まった。
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