研究課題/領域番号 |
25800039
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
保坂 哲也 静岡大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50344908)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | CAT(0)空間 / CAT(0)群 / Coxeter群 / 鏡映群 / 群の境界 / 再構成可能グラフ |
研究概要 |
(1) CAT(0)群が幾何学的に作用する2つのCAT(0)空間の境界の間の不変同相に関する研究が進展した。特に、Coxeter群がココンパクト離散鏡映群としてCAT(0)空間に作用する場合にその境界が不変同相によって決まる十分条件を得た。また、これまでに得られた研究内容と応用例を考察することにより、あるとてもシンプルな群が境界の位相を決定しない(non-boundary-rigidな)CAT(0)群ではないか、という予想を与えた。 (2) グラフ理論における有名な問題「再構成可能問題」に新しい手法で取り組み研究成果を得た。すなわち、グラフをflag複体と対応させて、「(ホモロジー)多様体を三角形分割したflag複体の1-skeletonが再構成可能グラフである」ことの検証およびこれを証明することに成功した。また、この定理の部分的な拡張を Yonghuo Xiao氏と共同で行い研究成果を得ている。 (3) CAT(0)群の構造に関する研究が進展した。CAT(0)群は必ず[中心が有限なCAT(0)群]と[torsion-freeなBieberbach群]の半直積で表せることを示した。このことにより、「中心が有限のCAT(0)群」が、もとのCAT(0)群を理解する上での構造上の本質であることがより鮮明になった。一方で、「中心が有限なCAT(0)群」の構造に関する研究が難解であることも、今回、研究に取り組んでみて解った。 (4) CAT(0)群の境界の位相に関する研究、特に、right-angled Coxeter群の低次元の境界の位相に関する研究を防衛大の知念直紹氏と共同で行い現在も継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目標としていた「CAT(0)群の構造の研究」および「群が幾何学的に2つのCAT(0)空間に作用するときにその境界の間にいつ不変同相があるかの研究」「グラフ理論の再構成可能問題に関する研究」等に、おおむね計画通りの進展があったため。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 引き続きCAT(0)群の構造の研究を推進する。中心が有限のCAT(0)群の研究を引き続き行い、一般のCAT(0)群の構造の研究を進める。 (2) CAT(0)群(特にCoxeter群)の境界の位相に関する研究を防衛大の知念直紹氏と共同で引き続き行う。低次元の hyperbolic right-angled Coxeter群の境界についての研究をさらに発展させたい。 (3) 群が幾何学的に2つのCAT(0)空間に作用するとき、その境界の間の不変同相に関する研究を引き続き進める。これまでの研究成果を発展させて、(non-)boundary-rigidなCAT(0)群の研究に取り組みたい。 (4) 測地線空間の鏡映群の研究に引き続き取り組む。測地線空間の離散なココンパクトでない鏡映群について研究を進める。 (5) グラフの「再構成可能問題」に取り組む。これまでに得られた成果を更に発展させたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の年度末に予定していた国内出張が、体調不良のために急遽キャンセルとなったため。 平成26年度に国内旅費として使用し、防衛大の知念直紹氏との共同研究を1回多く行いたい。
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