(1) これまでの研究でCAT(0)群は半直積の形で表せることがわかった。昨年度考えた rank 1 ではないが、指数有限な部分群も含め無限群の直積に分解しないことが期待された例については、そのような例でないことが判明した。一方で、半直積で表せるCAT(0)群とその作用するCAT(0)空間の研究に関して、防衛大の知念直紹氏との共同研究により進展が見られた。この応用により、上述のような性質を持つ例が構成できる。これは、Flat Torus Theorem の逆は一般に成立しない例になっている。 (2) Coxeter群の分類問題について、P.-E.Caprace-P.Przytyckiによる「twist-rigid-Coxeter系は(strongly-)reflection-rigidとなるのではないか」という予想がある。本研究では、twist-rigid-Coxeter系のnerveに現れるループに着目し、一部のtwist-rigid-Coxeter系がreflection-rigidとなるクラスの研究について進展があった。 (3) 群が2つのproperなCAT(0)空間に幾何学的に(等長的、ココンパクト、真性不連続に)作用するときの2つの空間の理想境界の間に位相同型がない例の構成法の予想について、多少の進展が見られた。 (4) 測地線空間およびグラフの鏡映群の研究について進展がみられた。測地線空間およびグラフの鏡映群の離散性、および、いつCoxeter群となるのかという問題について取り組み、多少の進展がみられた。 (5) 再構成可能グラフの研究について進展がみられた。これまでに得られている再構成可能なグラフのクラスの拡張に取り組んでいる。
|