研究概要 |
Lefschetz fibrationの自己交差数-1のsectionに関する諸問題に取り組んだ. 最も大きな結果は, 自己交差数-1のsectionを持つLefschetz fibrationを写像類群の言葉で記述する新しい方法を考案したことである. そのようなLefschetz fibrationはLefschetz fibrationの構成要素とも呼べる最も重要な対象の1つである. さらにLefschetz pencilと対応している. これまで知られている方法では具体例の大量構成が困難であったが, 新たに考えた方法では, 豊富に新しい例を構成することができる. 以下, 詳細を述べる. (1) 浜田法行氏(東京大学)と小林竜馬氏(東京理科大学)との共同研究において, 小さいslopeを持ち, 自己交差数-1のsectionを持つLefschetz fibrationを構成した. また自己交差数-1のsectionを持つ非正則なLefschetz fibrationの具体例を無限個構成した. そのような具体例はこれまでに10例に満たなかった. (2) 小林竜馬氏(東京理科大学)との共同研究において, 与えられた有限表示群を全空間の基本群として持つ, 自己交差数-1のsectionを持つLefschetz fibrationの具体例を構成した. その結果, 与えられた有限表示群を基本群として持つ4次元symplectic多様体が供するLefschetz pencilの最小種数の上界を与えた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「自己交差数-1のsectionを持つ」という条件を加えた, 小さいslopeを持つLefschetz fibrationを構成することができたが, この条件を外した場合, これまでに知られているslopeより小さいslopeを持つLefschetz fibrationは構成できたが, その改善はわずかであった. 大幅な改善ができなかったという点でやや遅れているとした. また, その他の有名な不等式や存在可能域に対し, どこまでLefschetz fibrationが存在するかについても同様の理由である.
|