研究課題/領域番号 |
25800047
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
藤森 祥一 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (00452706)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 極小曲面 / 平均曲率0曲面 / ワイエルストラス型表現公式 / 特異点 / 光的直線 |
研究実績の概要 |
ワイエルストラス型表現公式をもつ曲面の大域的性質と特異点に関する研究を行った。具体的には以下の3つの研究を行った。 江尻典雄氏、庄田敏宏氏との共同研究で、3次元Euclid空間内の3重周期的極小曲面のモデュライ空間とその極限に関する研究を行った。以前、この共同研究でRodriguezの標準例と呼ばれる2重周期的極小曲面がMeeks族と呼ばれる3重周期的極小曲面の族の極限として得られることを考察したが、Meeks族の極限として得られる極小曲面の分類を行った。本研究は現在も継続中である。 川上裕氏、國分雅敏氏、Wayne Rossman氏、梅原雅顕氏、山田光太郎氏との共同研究で、3次元Lorentz-Minkowski空間内の空間的極大曲面に関する研究を行った。曲面が光的直線に含む場合はWeierstrass型の表現公式で曲面を全てカバーできないことがあるが、その場合に陰関数表示など別の手法を用いて曲面を完備化する方法を研究した。またこの手法を3次元de Sitter空間内の空間的平均曲率1曲面に応用し、de Sitter catenoidと呼ばれる曲面の完全な分類を行った。 國分雅敏氏、Udo Hertrich-Jeromin氏、梅原雅顕氏、山田光太郎氏との共同研究で、3次元Lorentz-Minkowski空間内の平均曲率0曲面のGauss写像と曲面のChristoffel変換との関係について研究を行った。3次元Euclid空間内の楕円面とScherk towerと呼ばれる極小曲面はChristoffel変換によって対応づけられることが知られているが、この不定値版の研究を行い、平均曲率0曲面の新しい例を多く構成した。特に、曲面が光的直線を含み、かつその直線に関して対称ではない例も構成することができた。本研究は現在も継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3次元Lorentz-Minkowski空間内の平均曲率0曲面に関する研究は、Christoffel変換との関係を発見したことで多くの新しい例を組織的に構成することができ、研究は当初の計画以上に進展している。しかし、折り目特異点に沿って空間的から時間的に型変化する曲面の自己交叉性についてはまだ決定的な結果は得られていない。その他の研究はおおむね順調に進展している。以上のことから総合的に判断すると、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
3次元Euclid空間内の3重周期的極小曲面に関する研究は、Meeks族の極限の完全な分類を行う。また種数3でMeeks族に含まれない曲面の極限について、そのような曲面が得られるか調べる。 3次元Lorentz-Minkowski空間内の空間的極大曲面に関する研究は、光的直線を含む曲面の性質を調べる。このような曲面をWeierstrass型表現公式で表すと、曲面の半分しか表示できない場合と光的直線のみ表示できない場合があるが、その原理を解析し、完備化する一般論を確立する。 3次元Lorentz-Minkowski空間内の平均曲率0曲面については、光的曲線に沿って空間的から時間的に型変化する曲面の自己交叉性について研究を進める。計算機を用いた実験では自己交叉を持たない例がたくさん存在することが示唆されているが、数学的に証明されているのはごく僅かな例のみである。曲面の実解析性に着目して、自己交叉を持たないことの証明を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね予定通り執行したが、消耗品の支出が当初の予定よりも低く抑えられたため、8280円を次年度使用額として繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
プリンタのトナーが残り少なくなってきているので、繰り越された8280円は今年度の物品費に充てる予定である。
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