研究課題/領域番号 |
25800048
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
安井 弘一 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70547009)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | トポロジー / 4次元多様体 / 微分構造 / ハンドル分解 / Stein filling / 接触構造 / Lefschetz fibration |
研究概要 |
本研究の目的は,主にハンドル分解やその図式を用いることで,4次元多様体の微分構造の様相を探ることである.25年度の成果の中で主要なものは以下のとおりである. エキゾチックなStein fillingの組織的構成.対数変換をモノドロミーの置き換えでとらえる方法を得た.これは26年度に予定していた研究だが25年度に実現できた.この方法を応用しさらに次の成果を得た.ある条件をみたす任意のpositive allowable Lefschetz fibration (PALF)に対し,それを改変して無限個のエキゾチックなPALFを与えるアルゴリズムを与えた.このアルゴリズムにより,2ハンドル体の広いクラスに対してその位相不変量をエキゾチックなStein fillingの位相不変量として実現することができた.また境界の接触構造の観点からも考察を行った.成果は論文にまとめ,arXivに公表し,専門誌に投稿する予定である.このアルゴリズムはまだ様々な応用の可能性があると思われる.26年度以降も引き続き研究する予定である. これらの研究を行うにあたり,6月にはドイツで,8月にはアメリカで,4次元多様体の大規模な国際研究集会に参加した.国内には専門家が少ないが,海外の多くの専門家と情報交換をすることができ,非常に有益であった.また,国内においては研究集会「4次元トポロジー」を鎌田教授(阪市大),松本名誉教授(広島大)と広島大学で共催した.参加者の間で活発な議論が生まれ,非常に有益であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
25年度はエキゾチックStein fillingの構成法を開発する予定だったが、当初の期待以上の成果が得られた.当初の予定になかった接触構造の観点からの成果も得ることができた.一方,コルクに関する研究も予定していたが,海外で活発に研究されているStein fillingの研究を優先したため,これらについては具体的な進展が得られていない.
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き,4次元多様体のコルク構造,4次元多様体のエキゾチック微分構造の構成,4次元多様体の微分構造を保つ手術,など4次元多様体の微分構造について多角的に研究を進めていく.特に25年度の成果については早めに論文にまとめ,今後も色々な観点からその応用の研究を進めていきたい.
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