研究課題/領域番号 |
25800048
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
安井 弘一 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70547009)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | トポロジー / 4次元多様体 / 微分構造 / ハンドル分解 / Stein filling / 接触構造 / レフシェッツファイブレーション / 結び目 |
研究実績の概要 |
26年度の主な研究成果は以下の通りである。 1. 主に前年度に得られた結果である、Stein fillingに関する成果を論文にまとめarXivで公表した。特に、非常に広いクラスの4次元多様体に対し、その位相不変量はエキゾチックなStein fillingの位相不変量として実現できることを示した。また無限個のStein fillingを許容するような接触3次元多様体のサポート種数を初めて決定した。この結果によりサポート種数1であっても無限個のStein fillingを許容しうることがわかった。さらに、無限個のエキゾチックな境界付きLefschetz fibration (PALF)であって、種数1のものを構成した。この結果は種数1の閉Lefschetz fibrationにはエキゾチックなものがないという、古典的な結果と対照的である。 2. Stein filling を境界の接触3次元多様体のconcave filling (cap)の観点から研究した(Tian-Jun Li, Cheuk Yu Mak氏との共同研究)。特に、uniruled cap、adjunction cap、Calabi-Yau cap という3つのcapのクラスを導入し、それらの境界の接触3次元多様体に対して、Stein fillingの位相不変量の有限性の結果やその応用などを得た。 3. 4次元Stein fillingをオープンブックのページにもつ接触5次元多様体を研究した(Selman Akbulut氏との共同研究)。特に、同一の接触5次元多様体が互いにエキゾチックなStein fillingをページに持つ無限個のオープンブック分解を持ち得ることを示した。 4. 0手術が同じ2つの結び目はコンコーダントであるという、1978年のAkbulut-Kirby予想の初の反例を構成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた研究の多くは実行できたが、4次元多様体の微分構造を保つ手術の研究は良い成果が得られなかった。一方、concave fillingを用いたStein fillingの研究、5次元接触構造の研究、結び目コンコーダンスの3つの研究は予定していなかったが、これらに関する重要な成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き4次元多様体のコルク構造、4次元多様体のエキゾチック微分構造の構成、4次元多様体の微分構造を保つ手術について多角的に研究を進める。コルクや結び目コンコーダンスに関する26年度の研究成果は27年度の早い段階で論文にまとめたい。また、4次元の他分野への応用にも取り組みたい。
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