研究課題/領域番号 |
25800052
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
大城 佳奈子 上智大学, 理工学部, 助教 (90609091)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | カンドル / アレキサンダーイデアル / 捻じれアレキサンダーイデアル / 曲面絡み目 / 絡み目 / 結び目 / 空間グラフ / ハンドル体絡み目 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、カンドルを一般化する概念について詳しく研究し、それらを曲面絡み目の研究に応用させることである。曲面絡み目の三重点数などの諸性質に関する研究、新しい具体例構成の手法導入に繋がる研究として、以下のことを行った。 1.結び目に対する線形アレキサンダーカンドル彩色が、その結び目で分岐する3次元球面の有限被覆空間の基本群からある巡回群への群準同型に対応していることを2013年度に証明したが、その性質を更に拡張させ、(p,r)-型アレキサンダー多項式に対して同様の性質が成り立つことを証明した。その際、どの有限分岐被覆を取ればよいか、どの可換群への表現に対応させればよいか、等の点についても明確にした。 2.空間グラフ、ハンドル体絡み目、曲面絡み目の捻じれアレキサンダーイデアルについての研究を行った。特に、空間グラフについてはSuzukiのθn-curveについて次の結果を得た。2010年にY. Sato はアレクサンダーイデアルを用いて、n≠1,5(mod6)のときSuzukiのθn-curveが非自明であるということを証明した。(ただし、任意のnについてSuzukiのθn-curveが非自明であることは既に別の手法で知られていることである。)アレキサンダーイデアルで非自明性を証明できなかったSuzukiのθn-curveについて、ある捻じれアレキサンダーイデアルを計算し、それらの非自明性を確認することに成功した。これは捻じれアレキサンダーイデアルは空間グラフにおいてもアレキサンダーイデアルより強い情報を持つということを意味している。曲面絡み目についても捻じれアレキサンダーイデアルを計算し、リストとして纏めた。この研究は東京女子大学の新國亮氏と筑波大学の石井敦氏との共同研究である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展してはいるが、解決出来ていない課題も沢山蓄積している状態である。 カンドルの諸性質については25年度、26年度の研究によって様々なことが分かってきた。しかし、それらを曲面絡み目の諸性質の研究に応用させるところまでには至っておらず、引き続き研究を進めていく必要がある。
今年度も昨年度挙げた次の課題について引き続き取り組む予定である。 ・有限体上の2次特殊線形群の共役カンドル彩色を用いた応用について考える。n-twist-spun trefoil の三重点数やシート数の評価、可逆性の判定などに応用させる。 ・対称カンドル不変量がカンドル不変量と比べて真に強いかどうかを確かめる。対称カンドルコサイクル発見に繋がる研究も進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
(1)曲面絡み目の様々な構成方法について考える。諸性質を研究するための道具(カンドルやその一般化、アレキサンダーイデアル等)の研究も進める。 (2)アレキサンダーイデアルでは区別出来ないが、捻じれアレキサンダーイデアルで区別出来るnon ribbonな曲面絡み目の例を探す。樹下-寺坂結び目とコンウェイ結び目の2-twist-spun knot がその例にあたるのではないかと思っているが、捻じれアレキサンダーイデアルの計算とnon ribbonであることの証明を考える必要がある。
昨年度からの継続課題として次のことにも取り組む。 (3)有限体上の2次特殊線形群の共役カンドル彩色を用いた応用について考える。n-twist-spun trefoil の三重点数やシート数の評価、可逆性の判定などに応用させる。 (4)対称カンドル不変量がカンドル不変量と比べて真に強いかどうかを確かめる。対称カンドルコサイクル発見に繋がる研究も進めていく。
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