研究実績の概要 |
量子力学において時間発展を与える演算子はハミルトニアンと呼ばれるが,量子スピン系においては,これは自己共役な行列の列により表される.この行列の最低固有値と,のこりのスペクトルの間に(系のサイズについて)一様なギャップが開いているか否かは基底状態の性質をきめる重要な問題である.近年このギャップをもった系の分類が注目をあつめている.分類を行うためにはスペクトルギャップの存在を示す技術が必要である. しかし,一般にスペクトルギャップの存在を示すのは非常に難しい問題であり,完全に一般な量子スピン系についてこの問題を考えることは現在の技術では不可能である.しかし一次元系についてはギャップのあるハミルトニアンの,ある作り方(MPSによる構成法)が知られている.MPSによる構成法ではn個の行列の組からハミルトニアンを得る. スペクトルギャップを保証する為に,この行列の組は,ある種の条件をみたすことが必要である.今年度はこの条件をゆるめることを行った.さらに,この, ゆるめた条件のもとで得られるハミルトニアンの性質の解析を行った.
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