研究課題/領域番号 |
25800064
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
白石 大典 京都大学, 情報学研究科, 講師 (00647323)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | ランダムウォーク / ブラウン運動 |
研究実績の概要 |
本年度はランダムウォークのスケーリング極限にあたる、ブラウン運動の軌跡の構造に関して研究を行った。具体的にはブラウン運動の軌跡をループの集合と単純曲線に分解するということを試みた。ユークリッド空間上のブラウン運動は次元が3以下のときまたそのときに限りループを持つことが知られている。したがって上記のブラウン運動の分解の問題は3次元以下の場合にはじめて意味を持つことになる。本年度は2次元および3次元のブラウン運動に対して、その軌跡をループの集合と単純曲線に分解することに成功した。さらにそのループの集合はBrownian loop soupと呼ばれるランダムなループの集合と一致することを証明した。このようにループの集合をexplicitに与えることができたのは今後の研究に非常に有効に働くものと考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究により得られたブラウン運動の軌跡の分解は、ブラウン運動のループの集合が何者であるかを明確に記述する極めて有用な結果であり、それはブラウン運動の軌跡の構造を調べる上で強力な結果である。次年度はこの分解を利用してブラウン運動の軌跡のより進んだ研究を行う予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
ブラウン運動のループの集合はBrownian loop soupで与えられることがわかった。今後はこのループの集合の研究を当面行っていくつもりである。例えばそれが空間内にどのように配置しているかという分布の問題がひとつの興味ある問題となる。このようなループの配置に関してより詳細な結果を与えることは、ブラウン運動の軌跡の構造の理解につながると考えられる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度に得られたブラウン運動の分解の結果を次年度においてヨーロッパならびにアメリカの該当分野専門家が所属する研究機関でセミナー発表を行うことを予定していたため、次年度使用額が生じた。具体的には、Cambridge大学、ENS、Chicago大学等で口頭発表を行う予定である。
|
次年度使用額の使用計画 |
Cambridge大学、ENS、Chicago大学には本研究課題に関わる分野に精通した研究者が数多く存在する。そのような研究者とコンタクトを取ってセミナー日程を調整したのち、訪問してセミナー発表を行う。滞在は数週間を予定しており、セミナー発表だけではなく本研究課題に関して研究打ち合わせも行う。
|