本研究では国内外の研究者との議論および共同研究により、以下の事柄を達成した。ひとつはLoop-erased random walk (以下LERW)の長さの増大指数の存在を証明した。LERWはランダムウォークのパスからループを取り除いて得られるランダムな単純曲線モデルである。3次元の場合が最も解析が困難であることが知られているが、その場合にLERWの長さに関する詳細な評価を導き出し、増大指数の存在を証明した。ふたつめの成果として、このLERWのスケール極限と、ループ空間上の適切なポアソン点過程を合わせることによって、ブラウン運動の軌跡の分解を与えた。
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