研究課題/領域番号 |
25800069
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
岩渕 司 中央大学, 理工学部, 助教 (40634697)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Besov空間 / 移流拡散方程式 / Bugers 方程式 |
研究概要 |
今年度は移流拡散方程式に対する非適切性と、Burgers方程式に対する時間大域解および漸近挙動について考察した。 移流拡散方程式については、連立の方程式系を考えBesov空間において解の初期値に対する連続依存性の破綻を証明して非適切性を示した。滑らかな初期値に対しては単独と連立の方程式の考察において適切性の結果に違いは現れないが、低い正則性の初期値を考えた場合は、単独の場合と連立の場合で適切性が得られる関数空間に違いが現れることを明らかにした。尺度不変性が成り立つ関数空間で考えており、単独の場合は非線形項について2次の発散形式とすることができるために低い正則性をもつ関数空間まで適切性が得られる. 一方で連立の方程式系では非線形項は1次の発散形式であり、2次の発散形式にすることはできない。この発散形式の次数の違いを利用して、単独の方程式と連立の方程式系の違いを適切性と非適切性の観点から明らかにした。 Burgers 方程式の初期値問題について、時間大域解に関する適切性と時刻無限大における解の漸近挙動を考察した。特に分数冪のラプラシアンを取り扱い、線形部分がPoisson核で与えられる場合を考察した。時間大域解について、Miao-Wu (2009) がBesov空間において時間大域解の適切性を示しているが、本研究ではより正則性の低い小さい初期値に対して時間大域解が得られることを示した。解の漸近挙動については、時間大域解が時刻無限大においてPoisson核に漸近することを示した。加えて2次の漸近展開を考え、空間1次元と2次元以上では違いが現れることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
移流拡散方程式に対しては、予定通り結果を得ることができたと考えている。 予定していた外部領域におけるポテンシャル付きシュレディンガー方程式については、スペクトル分解など線形方程式に有用な理論を学んだが、非線形問題への取り扱いをするまでには至っていない状況である。今後スペクトル理論の理解をより深め、非線形問題へ応用するためにはどうすべきか模索しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は非線形シュレディンガー方程式に対する非適切性および圧縮性Navier-Stokes方程式の非適切性、トーラス上においてコリオリ項付きNavier-Stokes方程式の研究を行う。 非線形シュレディンガー方程式の非適切性については、冪乗型非線形項を考えて解が初期値の変動に関して連続的には依存しないことを証明することを目指す。以前に得られた結果は低次元で特定の非線形項に対する結果であったために一般次元の取り扱いおよびより一般的な非線形項の取り扱いを目指す。圧縮性 Navier-Stokes方程式の研究を行う。非圧縮性Navier-Stokes方程式に対してはBourgain-Pavlovi\'c(2008)の非適切性の結果が有名であるが、圧縮性と非圧縮性の場合で適切性が得られる関数空間に違いが現れると考えており、その違いを明らかにする。 コリオリ項付きNavier-Stokes方程式に対しては、3次元トーラスにおいて初期値問題を考えて、コリオリ力に対応する回転速度を大きくとった場合により大きい初期値に対して時間大域解が得られることを示すことを目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品のために利用の際、若干の余りがでたため。 解析学関連図書など、消耗品のために使用する。
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