| 研究実績の概要 |
最終年度は「2次元外部領域におけるNavier-Stokes方程式のスケール臨界状況下にある解の時間大域挙動」について研究を行った．非線形性と線形性の釣り合うスケール臨界状況下では解の自己相似的挙動が許容され，このような状況下で解挙動を精密に分類することは数学的・物理的に重要かつ挑戦的な研究テーマである．本研究では，2次元Navier-Stokes方程式の解に対して，初期速度場が弱L^2空間に属する場合の解挙動を精密に分類することに成功した; Maekawa (Analysis, 2015)．また，2015年度は空間遠方でスケール臨界のオーダーで減衰する2次元外部領域における定常旋回流についても研究を行い，その安定性を示すことに成功した; Maekawa, submitted. スケール臨界のオーダーで空間減衰し，かつ微小摂動に対して安定な2次元定常流が存在するか否かはこれまで全くわかっていなかった状況であり，本研究成果は学術的に大きな意義がある．
研究期間全体を通じて非圧縮粘性流体の渦度場の局所構造の解明に大きな役割を果たすことができた．特に，境界が渦度場や流れに与える影響について意義深い研究成果を挙げることができた．実際，本研究によって非圧縮性粘性流体の非粘性極限について初期渦度場の分布と境界層の安定性について大きな成果を挙げることができ(Maekawa(ADE, 2013), Maekawa(CPAM,2014))，また，3次元半空間非圧縮性Navier-Stokes方程式の解のtype I型爆発の非存在と渦度場ベクトル条件についても大きな進展があった；Giga-Maekawa-Hsu(CPDE，2014)．境界付近における渦度場の生成は流体力学的にも基本的な研究対象であり，本研究課題による研究成果はこの分野での研究発展に大きく寄与している．
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