研究課題/領域番号 |
25800090
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
川北 素子 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (80467373)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 符号理論 / 代数曲線 / 有理点 |
研究実績の概要 |
符号理論への応用を考慮すると、有理点を多数持つ代数曲線を具体的に記述することが、一つの大きな課題である。しかし、代数曲線の有理点数について、未解決の問題が多く残されている。Serre上界は代数曲線の有理点数の上界を与えているが、本研究は、Serre上界に達する代数曲線の性質の解明を目指している。 前年度に、ある程度解明できた代数曲線の周辺に探索範囲を広げることで、本年度は、新しい多数の有理点を持つ代数曲線を得ることが出来た。具体的に実行したことは、大きく三つのパートに分けられる。 一つ目は、探索の対象となる代数曲線を、種数がより小さい代数曲線にJacobian分解させることである。この部分は、代数や数論的なテクニックを用いた。二つ目は、Jacobian分解で得られた種数が小さい代数曲線に対して、効率のよい探索アルゴリズムを与えることである。今回の場合は、前年度のアルゴリズムを改善させて使うことが出来た。最後に、アルゴリズムを数式処理システムMagmaで実行した。 本年度のコンピュータ探索で、Serre上界に達する代数曲線も発見できた。しかし、Jacobianが完全分解出来ていないので、探索範囲が限られていた。従って、発見数が非常に少なく、性質を解明するには至っていない。今後、それらの自己同型群の計算を行い、Jacobianの完全分解を与えることで、探索範囲が広げられて、さらに、Serre上界に達する代数曲線が得られるはずである。また、Jacobianが完全分解出来ると、性質の解明も一層進むと期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新しく有理点を多数持つ代数曲線を発見出来たことが一番大きい収穫である。探索範囲を広げた代数曲線について、Jacobianを完全分解させることに至っていないが、種数2の超楕円曲線に分解させることが出来た。それにより、コンピュータ探索の計算量が減り、新しい代数曲線を得ることができた。 また、現在得られている結果から、この方向に研究を進めて行けば、さらに新しい代数曲線が得られる感触を与えてくれた。これらの代数曲線を、詳しく分析することで、Serre上界に達する代数曲線が発見できる様子である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度中に発見したSerre上界に達する代数曲線の性質が未解明なので、自己同型群を求めて、Jacobianの完全分解を求めたい。それにより、探索範囲を広げるアイデアも与えてくれるので、さらに、多くのSerre上界に達する代数曲線を得ることが出来る。具体例が増えると、性質を正確に調べ易くなる。 今後の研究は、数学の定理を用いてコンピュータ探索の計算量を減らし、探索を実行して得られた代数曲線の性質を解析して、代数曲線の定理を与えて行く方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
探索アルゴリズムを効率よく改良出来たので、数式処理システムを新規購入する必要がなくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
アルゴリズムの改良に限界があるので、新規に数式処理システムを購入する計画である。
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