符号理論は情報通信に不可欠な理論である。有限体上において多数の有理点を持つ代数曲線から、効率のよい符号を構成できることが分かっている。本研究は、そのような代数曲線がターゲットである。
初年度からWiman曲線とEdge曲線に着目した。研究期間前半は、それぞれの代数曲線について、その性質を分析して、Jacobian分解を計算した。さらに、コンピュータ探索を実施して、データベースhttp://www.manypoints.org/の種数6の場合を多く更新できた。古典的な代数曲線に新しい性質があることを示した。研究期間後半では、まずWiman曲線とEdge曲線を含む、代数曲線のクラスを新たに定義した。さらに、そのクラスについて同様の研究を展開して、新しい有理点を多数持つ代数曲線を発見した。最終年度となる本年度は、それまでの研究でよい結果を得た代数曲線の定義方程式をヒントに、別のクラスを定義した。有限体上の有理点数をコンピュータ探索した結果、違う種数でも、データベースhttp://www.manypoints.org/を更新した。
本研究の最大の成果は、Serre上界に達する代数曲線を多数発見できたことである。なぜなら、論理的にそのような代数曲線から効率のよい符号が構成できる。しかし、その存在がほとんど知られていなかったのである。今後、本研究で得られた結果を参考にして、有理点を多数持つ代数曲線の定義方程式の特徴を明らかにして行きたい。
|