研究実績の概要 |
本年度の研究目的は,歪アダマール差集合の非同値性に関する研究で, 新たな不変量の導入と計算を行うことであった. また, この研究課題については, 既に一昨年の私の研究(2013)によって, 素数を法とする三重交差数という概念を導入し, 部分的ではあるが肯定的な解決がなされた. 今年度は, 新たなクラスとしてChen-Feng(2014)によって与えられた歪アダマール差集合のあるクラスが平方剰余差集合と非同値なものを無限個含むことを, 同様の同値性の不変量を計算し証明できた. この結果については現在論文として執筆中である. また, 円分強正則グラフの存在を仮定して, 新たなパラメータをもつ強正則グラフを構成する手法を考案した. 特に, 円分強正則グラフの中でもある特別な条件をもつものから, その構成法によって, 新たな強正則グラフの無限系列を得ることができた. この結果は, 既に論文として執筆し, 国際学術誌Finite Fields and Their Applicationsに出版された. その他, m-ovoidやhemisystemと呼ばれる幾何構造について, 強正則グラフや差集合を構成するための手法を応用し, 新たな無限系列を構成することに成功した. この結果は, これまで存在性の判定が難しいとされてきた幾何学的構造に対し, この研究課題で扱った手法が類似の離散的幾何構造の構成問題に応用できることを示した結果である. その結果はJournal of Combinatorial Theory, Series Aという国際学術誌に掲載された. また, これらの結果について, 国内外の5つの研究集会・国際会議で講演を行った.
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