研究概要 |
本年度はまず相対論的2流体方程式に関する数値解法の調査および評価を行った. 宇宙・天体プラズマにおいては超音速の流れと乱流が普遍的に見られることから, 近年では衝撃波のような不連続をシャープに捉えつつ滑らかな波動(乱流)についても散逸させることなく扱うための手法が提案されるようになっている. 一方で, これらの手法の相対論的2流体方程式への適用可能性は明らかではないため, まずは既存手法を実装することで, その有効性を調べた. 具体的には, 既存コードに実装されていたWENO5スキームに加えてMP5などの高精度スキームを実装し, 1次元コードにて性能評価を行った. 問題にも依存するが, 概してMP5スキームは既存コードの(WENO5)スキームと同等以上の性能を有することを確認した. 現在は多次元への拡張を進めている. 加えて, 類似の方程式系である非相対論の他流体方程式系についても新規にコード開発を開始した. この方程式系は相対論的2流体方程式と多くの共通性があるため, 並行して開発を進めている. 相対論コードと同様に現在は多次元化を行っている. また他流体方程式のうちイオン成分を運動論的に扱うハイブリッドコードの新規開発も行った. ハイブリッドコードでは通常流体として扱う電子の慣性を無視するが, 有限の慣性を考慮することにより, これまでは困難であった低密度領域の数値的取り扱いが可能になることを示した.
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