研究課題
研究計画に沿って、初期宇宙における大質量星の形成過程の理論的研究を進めた。まず、前年度から進めてきた通常の初代星形成についての3次元輻射流体計算を論文としてまとめた。すでに改訂を経て、Astrophysical Journal誌に掲載が決定している。これは我々がこれまで行ってきた2次元軸対称の計算を拡張したものである。3次元では降着ガスの角運動量が星周円盤での重力トルクで輸送される様子を追跡するこができ、結果として激しく時間変動するepisodic accretionがシミュレーション中で現れた。さらに我々は原始星からの紫外光(UV)フィードバックも合わせて計算し、降着率の変動に応じて原始星構造が大きく変化し、星の膨張と収縮が繰り返される様子を示した。このときはUVフィードバックが間欠的にしかはたらかないため、ガス降着が止まりずらく数百太陽質量に達する大質量星が誕生する。すなわち、初期宇宙での大質量星の可能な形成pathを示した。また、並行して初代星形成の特別な場合、いわゆる"direct collapse説"に則った超大質量星形成の可能性についても研究を行った。このときは冷却過程が異なるため、通常の初代星形成と比べて高温でガス雲が収縮し、結果として非常に急速なガス降着によって原始星質量が増加する。ただ、やはりこのときもガス降着は自己重力のはたらく星周円盤を通じて起こるため、降着率は激しく時間変動する。この現実的な降着期の進化を2D(face-on)流体シミュレーションと星の進化計算を組み合わせて調べた。予想どおり、やはり原始星への降着率は激しく変動し、さらに通常の初代星形成の場合と比べて円盤分裂はより高頻度で起こることを示した。このため原始星への降着率変動の時間スケールが短く、原始星構造への影響は限定的でUVフィードッバクは弱くなることが分かった。
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巻: 印刷中 ページ: 印刷中
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