研究課題
本研究では、宇宙における金属の生成源である超新星爆発の瞬間であるショック・ブレイクアウト現象を可視光で初めて捉えることにより、宇宙の主要構成要素である星の最終進化段階の姿、および超新星爆発のメカニズムを明らかにすることを目的としている。その手段として、日本の持つ2つの広視野望遠鏡・カメラ(すばる8.2m望遠鏡Hyper Suprime-Cam=HSC、木曽1mシュミット望遠鏡Kiso Wide Field Camera=KWFC)を用いた、ショック・ブレイクアウト検出に特化した観測の簡易化・効率化を実現し、それらを用いた大規模サーベイ観測を行う。当該年度は、前年度より進めてきた木曽1mシュミット望遠鏡広視野カメラKWFCの遠隔および自動観測のシステムをほぼ完成させ、年度の後半より、遠隔・自動観測を進めた。これにより、2012年度より行っているKiso Supernova Survey (KISS)の観測およびその後の即時自動データ解析、フォローアップ観測、論文化の効率化が実現した。KISSのユニークな観測戦略および初期成果、KISSで発見した珍しいブラックホールの突発現象について2編の査読論文を出版した。すばる8.2m望遠鏡の広視野カメラHSCを用いて、2014年7月、11月の2度にわたり共同利用観測を行い、ショック・ブレイクアウト探査を行った。KISSでの開発経験を元に構築した自動データ解析システムを用いて、ショック・ブレイクアウト候補天体を発見し、査読論文として提出した。
2: おおむね順調に進展している
木曽1mシュミット望遠鏡に対する観測効率化が完了し、KISSの観測を順調に遂行している。また、すばる望遠鏡における観測も、4晩という限られた時間ではあったが、好天に恵まれ、良質なデータを取得することができた。ショック・ブレイクアウト現象の良い候補も発見でき、着実に研究は前進していると言える。
木曽シュミット望遠鏡でのサーベイKISSは、今年度半ばで一旦中断し、これまでのデータの再精査を行い、ショック・ブレイクアウトの検出頻度について詳細な議論を行う。また、ショック・ブレイクアウト同様の短時間突発現象(超新星、特殊な活動的なブラックホール)についても同様にデータを精査し、査読論文として出版する。すばる望遠鏡HSCのデータを用いた研究は、これまでの取得データを統計的に取り扱った結果を査読論文としてまとめるとともに、大規模戦略枠観測を含め、観測を継続していく。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) 備考 (2件)
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