研究実績の概要 |
本年度は、将来の直接撮像衛星による地球型惑星キャラクタリゼーションの新しい手法を開発し論文発表した。具体的には、惑星の自転による光度変動の周波数が、赤道傾斜角や軌道傾斜角により変調をうけることを発見し、これのモデリングを行った。また具体的にPseudo Wigner Ville distributionを用いて、シミュレートした光度変動曲線から周波数変調を検出できる事を示し、先のモデルとあわせて赤道傾斜角等が推定できる事をしめした。これらの結果は、Astrophysical Journalに掲載予定(Kawahara 2016)である。
また、ケプラー衛星のデータ中から、長周期惑星を探す新しい方法論を開発し、実際に探査を行った。これにはケプラー衛星が稼働した4年分のデータから単一トランジット現象(一回もしくは二回のみトランジットがあるもの)を目視により探査を行い、結果、7個の長周期トランジット惑星候補を発見した。また、この結果はcompact multi planet系の約20パーセント以上に、クールな巨大ガス惑星が存在する事を示唆している。発見した惑星候補はケプラーチームによりKOI(Kepler Object of Interest)として正式に認められる予定である。これらの結果は、Astrophysical Journalに掲載予定(Uehara, Kawahara, Masuda et al. 2016)である。
また、連星系においてもこのような単一トランジット現象を発見し、惑星よりは恒星に近い天体だったものの、この詳細解析をおこなった。結果、単一トランジット中に連星による食が3回観測された事と光速が有限である効果を利用し、光度曲線のみから軌道パラメタを全て決定する事に成功したこれらの結果は、Astrophysical Journal Lettersに出版された(Masuda, Ueahara, Kawahara, ApJL, 806, L37 (2015))。
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