多くの恒星は形成時、連星系として誕生する。従って星やその周りで生まれる惑星形成の普遍的なパラダイムを構築するためには、連星系における星・惑星形成過程を解明することが避けて通れない。しかしながら、連星系における星・惑星形成は単独星に比べてまだよく分かっていない。また、若い天体に付随する原始惑星系円盤は惑星系形成の現場であり、その詳細観測によって惑星が円盤上のどの場所でどのように形成されるのかを明らかにすることが出来る。そこで本研究では、連星における星・惑星形成過程の解明を将来目標とし、まずは連星YSOs(Young Stellar Objects)に付随する原始惑星系円盤の高分解能イメージング観測を行った。 本年度は、YSOsの偏光観測データの解析、共同研究者との議論、論文の執筆を中心に行った。解析及び議論のため、共同研究者の在籍する国立天文台への出張が数多くあった。円盤データの解析が進み、新たに原始惑星系円盤の検出に成功した。既に検出済であった他天体周囲の原始惑星系円盤に関しても、過去の赤外線観測では空間分解することが出来ていなかった、中心星のより近傍100AU以内の領域を分解することが出来、構造の周縁を検出した。双方の円盤データは過去最高解像度の赤外偏光データとなっている。本研究によって、初めて分解された星周構造は、非軸対称形状を持ち、非軸対称の起因について、電波のALMA及びSMAにおける観測データと比較しながら、分析を行った。
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